シューズデザイナー マイケル・ローリック氏が、友人のためにハンドメイドの靴を作ったことがきっかけで、1985年に創業したウィーン発のレザーシューズブランド”サンクリスピン (SAINT CRISPIN’S)”。1992年に正式にシューズブランドとしてスタートし、1996年にはルーマニアに工場を設立するが、2000年に工場は売却され、以降はデザイン、サンプル、木型などはウィーンの本社で、生産はルーマニアの小さな工房で行うという小規模な経営スタイルに変更し、以降妥協のない手作りの靴を作り続けている。

ハンドメイドのプレタポルテラインとビスポークラインを展開する”サンクリスピン (SAINT CRISPIN’S)”。十数名の職人が1足1足、ウェルテッド製法の原型である「ハンドソーンウェルテッド製法」で製作しており、ビスポーク以外は月間で80足程度しか作られない、非常に希少な靴である。使用する素材にも妥協はせず、高品質の牛革とカーフスキン(生後6ヶ月以内の仔牛の革)を中心に、仕上げにアニリン染料を使った透明感のあるアニリンカーフやカンガルーレザー、クロコダイルレザーといった様々な素材を用いて作られている。また、シューツリーの材料となるウォールナットやチェリー、シダー、ビーチなどの原木を丸ごと買い付け、自社でカットするところから始めるという徹底した拘りからも、靴づくりに対する真摯さが伺える。重厚感がありながらもエレガントな曲線美が際立つフォルム、エキゾチックなアッパーデザイン、そして、ビスポーク靴のような温もりを総身に宿している同ブランド。ウィーンの地理的な理由からか、イギリス靴の無骨さとイタリア靴のエレガンスさを持ち合わせており、バランスのとれた普遍的なデザインが特徴である。技術力に関しても、東ヨーロッパのブランドの中では指折りで、比較的マイナーなブランドではあるものの、コアなファンから熱烈な支持を受けている。

日本では、原宿の隠れ家的セレクトショップ「ブライスランズ(BRYSELAND’S)」でメイド トゥ メジャーを常時受け付けている。様々なラストやデザインやアッパーから選べ、フィッティング調整のためラストのカスタマイズも可能である。