2008年、東京・浅草に設立された「荒井弘史靴研究所」。こちらは、名門老舗のシューファクトリー・宮城興業でキャリアを積んだベテランシュープランナー 荒井弘史（あらい ひろし）氏が立ち上げた、顧客にとって理想の靴を創作してくれるアトリエだ。2012年には、オーダーブランド"Hiroshi Arai’s Laboratory of “Kutu”（荒井弘史靴研究所）"をローンチ。同ブランドの靴は「西洋のモノマネではなく、日本ならではの靴をつくりたい」という思いから、草履や下駄の鼻緒をベースに考案された、甲を逆Vの字に押さえる構造を持つ木型を採用している。今回は、そんな同ブランドのアトリエについてご紹介する。

ショップは、数多くの靴屋が軒を連ねる東京・浅草の花川戸にひっそりと存在している。うっかりすると、本当に見過ごしてしまいそうなアトリエだ。シュープランナーの荒井弘史氏は、山形大学工学部の在学中から宮城興業でアルバイトをはじめ、そのまま社員となり、靴好きなら知らぬ人はいないドレスシューズ・ブランド "MIYAGI KOGYO（ミヤギコウギョウ）"の初代プロデューサーとしても知られた人物である。

「靴はどこをどう押さえたら気持ちよく履けるんだろう」という研究課題に向き合い、日本の伝統的な履き物をベースとした木型を開発。その靴を履いた人からは、「これまでの靴とは まるで違う」と称賛されている。靴に対する飽くなき探求心は尽きることがなく、履く人にとって理想の “着用感・形状・色・質感”と、荒井氏の知見と哲学によって理想の靴を追求、創作してくれる。

オーダー手順と価格システムは、こうだ。まずサンプルを見て試着後、どんな靴にするかを決めていく。甲革の色や素材、靴のフォルム、デザイン、ソール…最後にサイズを決め、全体のバランスのイメージが出来上がったらオーダー完了となる。パターンセレクトオーダーメイドの場合、約40〜50日で手元に届く流れとなっている。

パターンセレクトオーダーメイドの価格は、基本価格（税抜47,500円）に甲革の種類の選択（ベーシックレザー：+0円、ハイクラスレザー：+22,000円、コードバン：+43,000円）、パティーヌの有無（+20,000円、ブーツは+30,000円）、ブーツにする場合はアンクル/デミ/ハーフブーツのどれかを選択し、革の種類ごとに価格がプラスされる。

最後に製法の選択（グッドイヤーウェルテッド/ハンドソーンウェルテッド）をして、ソールを選んだら完了である。また、ハンドソーンウェルテッド限定でオリジナルデザインのオーダーメイドも行っている。（※価格は全て税抜）一度見たら忘れられない個性的なシューズの数々に、感動すら覚えてしまうほどだ。

なお、荒井氏は2013年には皮革靴および製品のお手入れ用品＆関連用品を販売するR&D社とともに東京・青山（2018年に浅草へ移転）にシューリペアショップFANS.をオープンしており、こちらのショップでも、オーダーシューズ「荒井弘史靴誂え室」のオーダーメイドサービスを受けることができる。ご予約のお客様が優先となるため、事前にご連絡するとスムーズだ。荒井氏による採寸やオーダーの相談をご希望の方は、「FANS.（03-5811-1831）」までお電話して伝えるとよい。

とにかく、そのお人柄とお話に引き込まれてしまう荒井氏によるオーダーシューズ。
こちらのブランドの靴を購入するなら、ぜひ氏にお願いしたい！

荒井弘史靴誂え室
住所：〒111-0033 東京都台東区花川戸２丁目４−１１ 奥栄ビル

【お問い合わせ】
FANS.浅草本店
住所：東京都台東区雷門2-13-4 岡本ビル1Ｆ
電話：03-5811-1831
営業時間：10:00～18:00（月曜・火曜日定休）