1994年、ピエール・フルニエ(Pierre Fournier)がパリにオープンしたセレクトショップ「アナトミカ(ANATOMICA)」。メンズアイテムを中心とした、妥協のない、こだわりに溢れたエレガントなコレクションが特徴で、"オールデン"などとのコラボレーションシューズのほか、オリジナルアイテムも多数展開している。2008年には日本人インポートディーラーの寺本欣児がブランドに加わり、2人のフィルターを通した、日本のものづくりによる、アメリカンテイストのアパレルと、「Made in Japan」のオリジナルシューズブランド"WAKOUWA（ワクワ）"が誕生する。"ワクワ"のスニーカーはノンスリップソールを搭載しており、シンプルながら奇をてらわず、拘りに満ちたデザインが魅力だ。今回は、そんな同ブランドが2011年にオープンした日本初の路面店「アナトミカ東京」をご紹介する。

「アナトミカ東京」は、地下鉄浅草線 浅草橋駅から徒歩5分のところに位置する、運河に面し下町風情の残る、静かな場所に存在する。2011年、「インダストリアルな雰囲気を持った内装」をコンセプトに誕生した、日本初となる路面店だ。築46年のビルをリノベーションしたという店内は、コンクリートの天井を生かし、プライウッド（芯材に薄くスライスした木材を積み重ねて接着した合板）の壁に波板のアルミ材をポイントで使われており、スタイリッシュに仕上がっている。パリ本店の内装を担当した建築家が、度々来日して監督したそうで、そこに並ぶ商品やディスプレイとも相まって、どことなくパリの雰囲気が漂うものとなっている。ディスプレイには、"WAKOUWA（ワクワ）"のインスピレーション源ともなった可愛い木製の人形が！

人体への正しいフィッティングを重視しているアナトミカの洋服。ギリシャ語やラテン語の「アナトミカル（解剖学的）」を語源としており、人体構造を重視したブランド思想を持ち、ハイセンスな服とシューズの品ぞろえで、パリジャンはもとより、世界中のファッション関係者から愛されている。その理論を実践しているため、とにかく計測ありき。シューズ選びも、アメリカ製の計足器「ブラナックディバイス」を使って顧客1人1人の足長、足幅、甲の高低などを計測し、サイズ決定の手助けをしてくれる。これが分かれば買い足しもカンタンである。（"ワクワ"のシューズはつま先の捨て寸、くびれている土踏まずが特徴となっており、計測を行うと、よりフィット感を得ることができる）"オールデン（ALDEN）"とのコラボレーションモデルも同様で、フィッティングの他、靴のお手入れ、メンテナンスについてもアドバイスをしてくれる。「自分に合った靴」のサイズを知ると、今までの靴が違って見えるようになるから不思議だ。

洋服や靴を引き立てる内装とインテリア。計測に基づいたサイズ選びとエスプリに富んだミニマルなテイスト。ファッション好きな人ほど興奮する、こだわり満載の仕立てにカラーリング。ちょっとミリタリーテイストが加わったデザインは、着用してみるとコーディネートのスパイスとなり、着る人を引き立ててくれる。「フィット感」に関するこだわりをベースとしたコレクションで有名な同ブランドは、作業着や軍服の特徴を忠実に再現することで、ファッション性と実用性を見事に両立させている。

ブランド理念は、「レトロ」を超えたオリジナルスタイルへの挑戦。古き良きヨーロッパとアメリカを織り交ぜたテイストに日本のモノづくりが掛け合わされ、機能美を伸び伸びと表現する同ブランドに、ファッション通が熱を上げるのも無理はない。

この立地、この内装に、この商品。
ちょっと立ち寄りづらい場所ではあるが、行く価値のあるショップなのである。

アナトミカ東京
住所：〒103-0004　東京都中央区東日本橋2-27-19
電話：+81-(0)3-5823-6186
営業時間：13:00 - 20:00（火曜定休）