1964年に誕生した "パンサー（Panther）"は、世界長ユニオン株式会社が手掛ける日本発のスニーカーブランド。黒ヒョウをイメージした俊敏さにあふれるデザイン性と軽快なフォルムで、70年代にはトレーニングシューズの代名詞として多くのトップアスリートから愛用され、全国の学校指定靴として採用されるほど人気を博したブランドだ。ブランドは一時休止していたものの、2016年に「ミタスニーカーズ」の国井栄之氏をアドバイザリースタッフに迎えて復刻され、オリジナルモデルの普遍的なディティールを可能な限り忠実に再現しながらも、インソールにPANTHER GT DELUXを採用し、履き心地や通気性、防臭性など機能面を現代的にアップデート。日本が誇るクラフトマンシップにより新たな価値を具現化した”Panthe r”シリーズを展開している。今回は、そんな同ブランドが2020年にオープンした唯一の直営店「パンサー日比谷OKUROJI店」についてご紹介する。

ショップは、JR有楽町駅と新橋駅のちょうど中間あたりにある「日比谷OKUROJI（オクロジ）」の中に入っている。株式会社ジェイアール東日本都市開発が手掛ける商業施設「日比谷OKUROJI（ヒビヤ オクロジ）」は、いわゆる高架下のスペースで、戦後の香りと、洗練された日比谷の雰囲気が入り混じった、味わいのあるお店である。入口は帝国ホテルの裏手にあり、飲食店と職人の香り漂う専門店とが左右に軒を連ねている。

ショップは坂道を少し下ったところにあり、Jazzyな雰囲気漂う外観と、ミニマルでコンパクトなショップ。あたたかな照明の中、右手には"ユニオンインペリアル（UNIONIMPERIAL）"の革靴、左手には色とりどりのレトロなスニーカーが並ぶ。

シューズは、ブランド誕生当時のレトロな雰囲気を忠実に再現しつつも、カラーリングやフォルムに現代的なひねりを加え、魅力を引き立てている。例えばソールは当時のように薄く足に合わせてよくしなるようになっているが、その分、オーソライト社製のフットベッドを採用し、格段に履き心地を向上させている。品数は少ないが、どれも渾身の1足と言えよう。

1968年発表の「パンサーデラ」は、アッパーのナイロン素材とサイドの補強パーツが印象的なアイコンモデル。アウトソールはラバー+EVA。オーソライトとEVAの2層式インソールにすることで、コンフォート性を向上させている。

こちらは1980年代に発売されていた「パンサージョギング」をベースにアップデートしたもの。アッパーはナイロンとスエードを使用し、アウトソールは当時のジョギング機能を追求したグリップ性の良いパターンを採用している。

1970年発売のこちらのモデルは、アッパーにスムースレザーを使用。アウトソールにはラバー＋EVAが搭載されている。

履くと足に沿う感覚を残しつつ、フットベッドが足を快適に包み込んでくれる。ややぴったりめに作られているため、普段より1サイズ上でちょうどくらいの感覚だ。裁断、縫製、成型に至るまで、60工程の作業のすべてを日本国内の工場で行っている同ブランド。高い技術と経験の上に成り立つ、繊細で熟練された日本のものづくりの真髄を見る思いだ。

レトロな雰囲気がシンプルな装いの足元にぴったりのお店「パンサー日比谷OKUROJI店」。是非一度、覗いてみていただきたい！

パンサー 日比谷OKUROJI店
住所：東京都千代田区内幸町1-7-1
電話：03-6550-9992
営業時間：11：00 ～ 20：00（不定休）