"ドクターマーチン（Dr.Martens）"は、1945年にドイツの医師、クラウス・マーチン(クラウス・マルテンス)が開発したドクターマーチンソールを商品化したことからスタートした、イギリスのシューズブランドだ。始めはワークブーツとしてのイメージが強く、おもに、労働者階級が作業用途で、郵便局員、警官や工場労働者が使用した。その後、反体制的な思想を持ち、意図的に髪を剃り上げるスタイルの「スキンヘッド」に浸透。彼らは労働者階級の象徴であったブーツとジーンズを着用し、徐々にファッションアイテムとして広がっていく。また、拍車をかけるように広まったきっかけの1つに、ミュージシャンの支持を集めたことがある。ビートルズ、ローリング・ストーンズ、クイーンなどの大物ミュージシャンが使用し、世界的に著名な映画監督・キューブリックの代表的な映画、『時計仕掛けのオレンジ』でも使用されるようになる。このような労働者と音楽との結びつきは、自然にストリートカルチャーの一要素として扱われていった。モッズやパンクファッションもその一例で、ストリートファッションとのつながりの深いブランドとして成長していった。その後、ザ・スミス、オアシスなどがドクター マーチンのブーツを履いた。現在ではサンダル、つま先に鋼の入ったブーツといったさまざまなスタイルが発表され、ブーツを中心に、世界で年間1,200万足を売り上げるまでに成長している。

ドクターマーチンのブーツは、そのロックな見た目だけではない。2016年、シリーズ「ディーエムズ・ライト(DM's LITE)」が発売された。吸湿性のある低反発素材を使用したインソールと、タフさ・柔軟性を兼ね備えた超軽量アウトソールの組み合わせにより、抜群の快適さと耐久性を実現したシリーズも発売され、長く愛される理由を裏付けている。

今回、原宿店はドクターマーチンの歴史やカルチャーを体感できるシューズショップへと生まれ変わった。店内は英国カムデンの本店をモチーフにした新たなデザインに。レンガ作りの壁に重厚な革張りのソファ、”DR.MARTENS”のロゴが入った大きなジュークボックス。本国イギリスの雰囲気をそのまま詰め込んだ店内には、長年愛され続けるブランド定番のブーツから、トレンドを取り入れた最新コレクションまで、エッジの効いたアイテムを中心に豊富なラインナップが揃う。

ロングセラーの多いドクターマーチンの人気定番シューズ。どれを試していいか迷ったら試したい、3アイテムをご紹介する。

ドクターマーチンを語る上で欠かせないのが「1460」。1960年4月1日に製造ラインに乗ったことから、この名が付けられたという。イエローステッチ・プルタブ・特徴的なソールなど、ドクターマーチンならではの要素がギュッと詰め込まれており、存在感も抜群。カラーバリエーションも豊富なため、個性が出しやすい点もおすすめのポイントである。1足は持っておきたい、定番アイテム。

「1460」と共に、ドクターマーチンの定番シューズとして愛され続けている「1461」。ボリューミーな厚底ソールと、様々なデザインのアッパーを組み合わせた「HARDWARE(ハードウェア)」コレクション。パワフルなシルエットを持つシューズは、足を通すだけで心もスタイルも瞬く間に力強さが溢れそう。ドクターマーチンスピリットを感じるハイエナジーなコレクションだ。ドクターマーチンの定番シューズにベルトを2本取り付けてアップデートした「1461 オルタナティブ 3ホール シューズ」。シルバーカラーのバックルにはブランドのロゴが入り、ウェルトにはイエローのステッチを施して仕上げられている。きちんと手入れをすれば、長年ワードローブの定番アイテムとして活躍してくれるアイテムだ。

がっちりとしたシルエットと、つま先部分に内蔵されたスチールキャップが特徴。余分なものを削ぎ落とし、シンプルにインダストリアルに対する姿勢が表現されている。アッパーにはマットな質感のヘアーセルレザーを使用し、ドクターマーチンのDNAであるイエローのウェルトステッチを施して仕上げられている。落ち着きのあるマットな質感が大人カジュアルにぴったりな1足だ。

いかがだっただろうか。
堅牢な作りと個性の光るデザインで、おしゃれ好きの心を掴んで離さないドクターマーチン。履きこなすのにコツが要りそうなツワモノも、上手に取り入れることで"その人だけの1足"に。また、定番アイテムを選べばコーディネートへの汎用性も高く、デイリーアイテムとして重宝できる。

購入を検討している方は、まず3ホールや8ホールから始めて、ドクターマーチンの魅力を堪能してみたい。

ドクターマーチン 原宿店
住所：東京都渋谷区神宮前6-28-4 シニック関根ビル
TEL：03-6712-5809
営業時間：12:00〜20:00