美しい姿勢の女性になるには
颯爽とハイヒールで街を歩く、そんな姿に憧れます。でもいくら高価で美しい靴を買っても、肝心の脚元が機能していないと意味がありません。美しくヒール靴を履きこなすために女性はどのようなことに気をつければいいのでしょうか。六本木のパーソナルジム「メイクボディラボ」で数多くのスポーツ選手や格闘家のパーソナルトレーナーを務める小原史也さんに美しい足元を作る秘訣について聞いてきました。
足の接地面を意識する
「ハイヒールで立つ時に人はやや前傾姿勢になり、足の親指に過度に体重がかかってしまいます。この姿勢は非常にバランスが悪い状態です。
親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点で着地した状態が最も足に負担がかからず、安定した状態です。この3点で立つことによって、内くるぶしに骨盤が乗って、足裏のアーチが機能して、動きに安定感が出るのです。」
小原さんの指導のもと、実際に意識してこの3点で立ってみると、ストンと身体がおさまる感覚があります。
「私たちは手と違って足の末端を意識して動かしません。普段から足の接地位置がどこにあるか意識して立つことが大切です。建物と同じで土台がしっかりしていれば、上はぐらつかないのです。」
脚の筋力アップ
アンバランスな歩き方や立ち方は美しくないだけではなく、疲れやすく、腰への負担も増えてしまいます。足裏だけでなく脚全体の筋肉を鍛えていくことが大切だと小原さんは力説します。
足裏を安定させるためには、脚全体の筋力アップが大切です。そのためにできる小原さんオススメのストレッチを二つ紹介します。
大腿四頭筋のストレッチ
「ハイヒールを履くと足の親指に過度に負担がかかってしまいます。前傾になっても美しく立つためには脛の前の筋肉(大腿四頭筋)のストレッチが効果的です。まず右脚前面と脛の前の筋肉を伸ばします。足を後ろに曲げて伸ばします。この時立ったままの左脚よりも右脚をもっと後ろに引っ張る形を意識してください。脚だけではなく、肩も同時に反って、右半身全体を伸ばすイメージが理想です。立ったままだと厳しい人は、寝た姿勢でやっても大丈夫です。」
タオルストレッチ
次にタオルを使ったストレッチを紹介します。仰向けに寝転び、片足を伸ばして、もう一方の足の裏にタオルを使って伸ばします。横に寝ている脚の膝は曲げずに、伸ばした足の膝を伸ばしていきます。タオルを引っ張って、かかとを上にあげることで、脚の背面の筋肉を十分に伸ばすことができます。
どちらも手軽にできるストレッチですが、毎日続けることで着実に脚の筋肉が柔らかくなり、綺麗に重心が3点に乗るようになるそうです。
扁平足なども矯正できる
小原さんは鍼灸按摩マッサージ指圧師、機能訓練技師の資格を持つパーソナルコンディショニングトレーナーです。普段はけが人の治療や鍼灸やマッサージをしたり、スポーツ選手のパフォーマンスの向上のサポートをしています。
「体重移動はかかとから着地して、小指から親指に重心に移動するのが理想の流れです。しかし扁平足の人の場合は、足裏がアーチになっていない分、足全体がペタッとついてしまってバランスが取れません。バランスが取れないので転びやすかったり、ちょっと歩いただけで疲れやすく、運動不足になりやすい傾向にあります。」
扁平足は遺伝や子供の時の運動不足などの要因でできて、治らないものという固定概念があったのですが、小原さん曰く、扁平足も直すことができるそうです。
「扁平足の人は意識してアーチを作ってあげる必要があります。足の裏に手を入れて引き上げて、片足立ちすると、アーチが生まれます。この動作を繰り返し矯正することで、大人になってからでも十分アーチを作ることができるのです。」
体づくりの基本は食生活から
美しくヒールを履くということは何も脚だけの問題ではありません。脚だけではなく、全身の筋肉が必要です。特に身体づくりには食生活を見直すことも大切なのです。
「何を食べたほうがいいという話は個人差があり、とても複雑で一概には言えません。ただ豚肉を食べる時にごま油につけることによって、脂肪の吸収率が低くなって健康的になるといった食べ合わせの工夫をするだけでも変わってきます。また東洋医学でいう『五行』の考えのように春なら青いものを食べたほうがいいといった季節によって食べるものを変えることも意識してみてください。自分の体ときちんと向き合って食事を考えることで、体が変わってくることを実感できると思います。」
女性は呼吸を見直すことも大切
女性の中で最も簡単で効果的な健康法は呼吸を見直すことです。呼吸が浅いと疲れやすく、お肌にも悪い、メンタルも不安定になるとまさに女性にとっては悪いことばかりです。
「酸素をしっかり取り入れることで、細胞は活性化します。口は本来息をする器官ではありません。息は鼻から取り入れて、口から出すのが正常な流れです。鼻の穴の中は湿り気があり、取り入れた乾燥した外気を、鼻の中で温めて保湿して、体に入れるという役割があリます。
鼻呼吸ができていないと冷たい外気がそのまま体内に入り、冷えにつながります。深呼吸や腹式呼吸をしっかりするだけで全然違います。3秒で呼吸をして、3秒で呼吸を出す。慣れてきたら、吸ってから出すまでの間に3秒止める。そして呼吸の時間をだんだん伸ばしていくことで、脳にいきわたる血流量が増えていきます。」
筋肉と食生活と呼吸。美しい立ち姿を実現するためには体のトータルバランスが必要ということがわかりました。
寒い季節はついつい運動不足になりがちです。春になって重たいブーツから綺麗なヒール靴を履けるように今から意識していきましょう。
参考
出典:MAKEBODY LAB