2008年、南コーカサス地方にある小国・アルメニアの洞窟から現在のモカシンに似た靴が発見されました。
それまで世界最古の靴はエジプトのものと考えられていましたが、それよりさらに古いことが調査によって判明しました。
アルメニアの洞窟で、モカシンタイプの靴が見つかる
イランとの国境に近いアルメニアの洞窟で、紀元前3500年ごろのものとされる革製の靴が発見されました。
足の形に合わせて1枚の牛革を立体的に縫い合わせたもので、現在のモカシン・ローファーに似た構造になっています。
靴の中にはぎっしりと草が詰められていますが、型崩れ防止・保温のためなどさまざまな憶測がされています。
おそらく、大事に使用されていたもの
靴ひもを通す穴が裂け、補修した痕跡があることから、長期間にわたって大事に使用されたものと考えられています。
また地面にきちんと引いた線にあわせて置かれており、靴のすぐそばで羊の角・骨や壷なども一緒に発見されました。
おそらく、何らかの儀式に使用されたのでしょう。
バルカン半島の伝統的な靴に似た構造
今回発見された靴は、バルカン半島の伝統的な靴「Opanke(オパンケ、もしくはオパンカ)」によく似ています。
Opankeはかかとが低いスリッポンタイプの靴で、現在高級靴などに採用される「オパンケ縫い〈アッパー(甲部分)の周囲ををソール(靴底)でぐるっと囲って縫い付ける製法〉」はこの靴の構造に由来します。
まとめ
いかがでしたか?
本来、革は腐食しやすいものです。
しかし今回発見された靴は乾燥した洞窟内にあったこと、羊のフンの層の下で空気から遮断されていたことから、奇跡的にほぼ原型を保ったまま発見されました。
持ち主から大事にされ、持ち主がいなくなった後も数々の幸運に護られた、とてもラッキーな靴といえますね!