人に歴史があるように、モノにもルーツがあります。
それは、何気なく身に付けたファッションアイテムも同様。秘められた過去、そして、誕生秘話があるのです。
よく似ている。デザートブーツとチャッカブーツ。
ここで焦点を当てていきたいのは、デザートブーツ。
2組の紐穴を持ち、くるぶし丈というチャッカブーツと同様のデザインでありながら、靴底に天然ゴム・合成ゴムを用いることで機能性も追求した、1950年代に流行した革靴です。
靴メーカーの御曹司が考案者。
デザートブーツは1950年に、イギリスのクラークス社より発売されました。
考案したのは、ネイサン・クラーク。クラークス社創始者のひ孫であり、彼が第二次大戦中ビルマ戦線に出兵したことが、この世界的定番ブーツが誕生するきっかけとなったのです。
エジプトのバザーで売られていた、奇妙な靴がヒントに。
従軍中、若き日のネイサンは自身が参加していた部隊の中で、奇妙な靴を履いている兵士を見つけました。
それは、くるぶし丈のスエードのブーツ…聞けば、エジプトのカイロへ赴いたときに購入したものだとのこと。
ネイサンは即座にその靴のスケッチを描き、クラーク社へ郵便物として送付。帰国後、それをもとに制作したのが「デザートブーツ」です。
まとめ
開発された当初、デザートブーツは売れる見込みはないと、クラーク社の中では思われていたそうです。
しかし、海外への販売を目指し、1949年にシカゴの靴展示会に出展したことをきっかけに、アメリカの歴史のあるファッション誌Esquireで紹介されるなどして、米国内で大流行!
そこからヨーロッパでも人気商品となり、世界のスタンダードとなっていったのです。
ヒッチコック作品で、チャッカブーツを履くマックイーン。