1960年頃、公開された映画から人気に火がつき、日本でも大ブームとなったデッキシューズ。デッキシューズは、別名ボートシューズと呼ばれています。名前の由来のとおり、ヨットやボートで滑らないように工夫が凝らされた靴です。さらに詳しい歴史について、紐解いていこうと思います。
最近再び、デッキシューズが熱い!らしい
ここ数年、毎年のように夏が近づいてくるとデッキシューズが流行しているとささやかれるようになりました。特に、男性に人気があるのだそうです。
それぞれが、それぞれに、自分ならではのこだわりを持ち、靴下を見せないように履いたり、革タイプをチョイスしてカジュアルに決めたりと、おしゃれを楽しんでいるように感じます。
さて、日本でデッキシューズを広めた邦画として有名なものに「太陽の季節」があります。これは、石原慎太郎氏が芥川賞を受賞した同作品を、弟の石原裕次郎主演で制作した映画です。
当時、映画と同じルックスをした太陽族が社会現象になりました。アメリカへの憧れも手伝って、大ブームを巻き起こしたのです。彼らが好んで履いていた靴が、デッキシューズです。
靴の底に秘密あり
デッキシューズには、水で滑らないように工夫が凝らされています。その特徴として、アウトソール(靴底)があげられます。水を上手に掻きだし、摩擦の力を最大限に引き出すソールが使われています。
普通のシューズにはない、靴底の形が刻み込まれています。
この切れ込みや溝が自動車のタイヤのように効率よく水を排出し、摩擦力を失わないようにしているのです。
靴本体に使われる素材には、キャンバスやオイルレザーがあります。どちらも、靴底が滑らないように工夫されています。
キャンバスのデッキシューズは、濡れることを考えて作られているため、通気性が抜群で、すぐに乾きます。だからこそ、夏に人気が集まるのも納得ですね。
また、オイルレザーのデッキシューズにも、完全防水のゴアテックスを使用したタイプもあります。ですが、お手入れをキチンとしないと長く履くことができません。
命を守るデッキシューズ
船のキャンバス(甲板)は、いつでも水に濡れて滑りやすくなっています。船から落ちることは、命を落とすことにつながりかねません。デッキシューズは、船員の命を守るために誕生しました。
現在のデッキシューズの靴底は、「スペーリソール」と呼ばれる形状が主になっています。これは、犬が雪道を走っているのに滑って転ばないことにヒントを得て、制作されています。
また、ソールに使われるラバーは、とても柔らかいことが特徴としてあります。柔らかいからこそグリップの強度が生まれます。ですが、アスファルトなどを歩いていると、減りが早いのも事実です。あくまでもデッキの上を歩くことを目的としている、デッキシューズの宿命ともいえます。
まとめ
デッキシューズは、甲板に立つ人を守る目的で誕生しました。水に濡れて滑りやすい甲板から、海へ落ちてしまう人が後を絶たなかったからです。かって海上で使われていたデッキシューズも、今では陸上で履く人が増えています。特に、1958年に公開された映画が火付け役となり、日本にデッキシューズの文化が根付きました。命を守るデッキシューズ、大切に履きたいものですね。