日本史に登場する人物の中でもトップクラスの人気を誇る坂本龍馬は、日本で初めて革靴を履いた人としても知られていますね。
彼が活躍した幕末期より前の日本では、今日のような革製の「靴」はほとんど存在しなかったんです。
草履・下駄の材料が簡単に入手できた
今でこそゴム・ビニール・合皮などさまざまな素材の草履が出回っていますが、中世~近世の人が履いていた草履は藁・竹の皮などでできていました。
同じく歴史の長い下駄は、木と布(鼻緒部分)がおもな材料です。
いずれも身近な素材で作れるうえに、構造が簡単なので作る手間もそれほどかかりませんでした。
草履・下駄のほうが便利だった
日本は雨が多く、おまけに道が舗装された現代と違って昔は少しの雨ですぐ地面がぬかるんでしまいました。
そんな環境で靴を履けば、すぐに足は蒸れて靴はドロドロになってしまうでしょう。
それよりは、高さがあり地面にめり込みにくい下駄や濡れても乾きやすい草履のほうがずっと便利でした。
中世~近世日本で例外的に使用されていた「沓」
とはいえ脚全体を多う履物が全くなかったわけではなく、高貴な男性や神職の人が儀式・祭礼時に使用する「沓」や雪国の藁沓(わらぐつ)などが存在しました。
当時の日本では皮革が入手しにくかったため、革製の履物はごく限られた階層のものでした。
そのため、革編の入った「靴」の字ではなく「沓」という字が使用されているのです。
まとめ
いかがでしたか?
現代の日本人は、草履・下駄より靴に慣れている人がほとんどですね。
しかし中世~近世日本のライフスタイルでは、簡単に作れて脱ぎ履きしやすい草履・下駄のほうがはるかに便利で快適だったというわけです。